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日本版テニュアトラックの評価

日本でもテニュアトラックを始めた大学があります。
テニュアトラックの制度は大学ごとに異なりますが、
制度自体を評価する場合には、次のような点を議論すべきだと思います。

1.人選は公平だったか(卒業生や内部ばかりから採用していないか)
2.スタートアップのお金をしっかりあげたか
3.助教の独立性は保たれているか
4.教育義務などの雑用は少なく、研究に専念できているか
5.テニュア獲得基準ははじめから明解で、獲得率は70%程度以上になるか

1.は当たり前ですが、今まで助手だった人を、テヌトラ助教に移し替えた
だけでは、文科省の意図に反して、口八百で人件費を捻出しただけに見えます。

2.は、少ない大学が多すぎます。アメリカでは4000万から1億円は出ます。
最悪、ポスドクが雇えるぐらいにはしてやらないと、かわいそうです。
始めに十分な金はやるからあとは100%全て助教の自己責任で、
スタートアップ → 小さなグラント → 大きなグラント
とステップアップしていってくれ、という形にするべきです。
責任の所在を明らかにした上で、テニュア審査を行うべきです。

3.は、テニュアトラックはそもそも、独立できるところが唯一のメリットです。
アメリカの大学に就職する人が多いのは、助教から独立できるからですし、
日本でテニュアトラックが始まった理由は、魅力あるポジションを提供して
海外から優秀な人材を引きもどすという歴史的な必然があったように思います。
論文の著者に必ず同じ学科の教授が名を連ねるようなことではいけません。
特に工学部などでは悪い慣習がありますので、白い巨塔になってしまいがちです。

4.給料が安いのは、講義を担当しないからです。
給料が安くても、研究に専念できる環境は、研究者にとっては魅力的です。
雑用を最小限にし、研究時間を一定時間以上確保することで、
研究成果に対する全責任はテヌトラ助教が負うというわかりやすい形にすべきです。
アメリカの「研究大学」では、テニュア教授の最大でも週4コマ(6hours)までしか担当しません。
日本のテニュアトラックで週6-7コマ持たせている所もあるようですが、論外に思います。
週1-2コマで教育経験を積むという程度で十分ではないでしょうか。

5.人を取り換えた時に、より良い人を採用できる可能性が高いからこそ、
首を切る意味があるわけで、単純に考えて、テニュア獲得率が50%を切るというのは、
人を見る目がなかったという意味で、採用する側の責任が問われても仕方ありません。
アイビーリーグなどの超一流大学でも70%は採用するわけなので、
それよりもはるか下のクラスの大学で70%以下しか採用しないのは、
採用される身になれば、とってもストレスフルなことではないかと思います。

日本では、テニュアのポストとテニュアトラックのポストが併存しており、
ポスドクさえ食いつなげない人がテヌトラに応募せざるを得なかった側面があります。
しかしそれでは、人選のレベルが低くなってしまいます。
「独立・研究費・雑用無」の3種の神器を保障することで、
世界から優秀な人材を集めるべきです。
近年は、NIHなどの競争資金の競争が激しくなりすぎており、
超有名大学のラボでも獲得するのが難しくなっています。
そのため、ブランドネームのない研究所であっても、
研究費を毎年それなりに与えるという魅力的な条件をつけることで、
有名大学から人を引き抜くというケースが近年の世界の潮流です。
逆にいえば、3種の神器さえ確保すれば、日本の大学でも
その魅力は十分世界に通用するはずです。

参考
「2ch ~テニュアトラック2~ □好機?■地獄の?」でも問題が噴出しています。

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テーマ : 教育政策
ジャンル : 政治・経済

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tenure-track

はじめまして。米国でテニュアトラックのWillyと申します。以前、Penn State の人の調査では、アメリカのリサーチ大学でテニュアトラックに乗った人のうち、その大学でテニュアを取る人の割合は53%という結果がありました。もちろん、より良い大学に引き抜かれるケースもあるでしょうがそれほど多いとは思えません。アイビーで70%というのは、テニュアを申請した人のうち、審査に合格した人ということでしょう。通常、審査に通る見込みが高くなければ申請自体をしないので、表向き割合が高くなるのだと思います。

講義の負担ですが1年目はともかく、それ以降はtenure-track の教員がtenured の教員より少ないということは私の分野(数学系)では無いです。州立のリサーチ大学では、通常一学期あたり6単位(通常、週150分の科目を2科目)です。私の大学がこれがかなり多めで7~8単位(週165-220分の科目を2科目)です。もっとも、7割前後のコースがいわゆる入門レベル(日本の高校から大学教養レベル)のコースなので内容は割と楽な方かも知れません。

米国の大学の教育負担はわりと重い方だと思います。英語圏では、シンガポールが一番軽い感じでした。研究成果もやはり、そのほうがよく出ているようです。

Re: tenure-track

Willy様

本ブログ史上初のコメントありがとうございます。

> 通常、審査に通る見込みが高くなければ申請自体をしないので、表向き割合が高くなるのだと思います。
そんなからくりがあるのですね。これからは何の数字なのか注意して調べます。

> tenure-track の教員がtenured の教員より少ないということは私の分野(数学系)では無いです。州立のリサーチ大学では、通常一学期あたり6単位(通常、週150分の科目を2科目)です。
詳しい情報ありがとうございます。大変参考になります。
Willyさんの場所は、想像ですが世界ランク201-300くらいでしょうか?
そうだとすると相当良い所ですが、州立だとやはり生徒数が多いから大変なのでしょうか。

またこちらからも訪問させていただきます。

No title

私の大学は上海交通大やWeb情報ベースの研究ランクだとそのくらいですね。分野別ランクだとアメリカで100位くらいだと思います。NSFのグラントを持っている人も結構います。ただ、学部生のレベルは高くないです。一流州立大の上位層に比べて遜色ない人もいますが、公式の当てはめもできないという人もいます。

うちの大学はクラスの人数は少ないですね。今のクラスは13人しかいません。先学期は40人ちょっとでした。大体そんな感じです。採算が成り立たないだろう、とこっちが心配になります。


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Author:47連敗
海外も視野に入れてポスドクまたは助教の職を探していたピペドだったが、最近特任助教となった。

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